未来に残そう 豊かな海と博多湾の生き物たち
玄界灘につながる博多湾に面した福岡市は、充実した都市の機能と豊かな自然が調和したまちです。
海岸沿いの美しい風景とおいしい海の幸が、市の魅力を引き立ててくれています。
対馬暖流が流れ込む玄界灘は有数の漁場で、博多湾には、たくさんの生き物たちが生息しています。
天然のサザエやアワビも取れる豊かな海です。
岩場には多くの生き物が集まる磯があり、ワカメ、ヒジキ、アマモをはじめとする藻場も多く、スズキやメバルなどの稚魚もたくさん見掛けることができます。
また、外海に近い志賀島(しかのしま)や能古島(のこのしま)、湾の西部地域を中心に、海水浴場が点在しウインドサーフィンなどのマリンスポーツも楽しめます。
海風を受けながら海岸沿いの遊歩道をのんびり散策し、玄界灘に沈む美しい夕日を見ることもできます。
福岡の海の素晴らしさ、豊かさを市民に伝え、海を守るために活動する「ふくおかFUN(ファン)」代表理事の大神弘太朗さん(35)に話を聞きました。
私はこのまちで生まれ、ここで育ちました。
海に面した自然豊かな福岡のまちが大好きです。
まず、皆さんに知ってほしいことは「こんなに豊かな海がここにある」ということです。
魚のおいしいまちとして地元を誇りに思う人が多い反面、海への愛着を感じている人は、さほど多くない気がします。
あまりきれいなイメージを持っていない人も多いです。
幾度となく福岡の海に潜ったから言えることですが、博多湾も捨てたもんじゃありません。
160万人みんなが意識すれば、もっと美しい海になります。
ぜひ、この海と触れ合ってみてください。
海に行ってみるといろいろな発見があります。
眺めの良い景色、潮の香り、波の音、そこに生息する生き物たち-五感をフル稼働させて、体中で自然を感じてください。
この素晴らしい福岡の海を未来に残していくために、私たちにできることを一緒に考えましょう。
子どもたちが、はだしでビーチを駆け回る風景をずっと先の未来まで残していくために、これからも海の魅力を伝え、海と人をつないでいきます。
福岡市 おさかなレンジャー 検索
海底のごみはどこからくるの?
博多湾に海底ごみがあることを知っていますか。
海底ごみは生態系に悪影響を及ぼすため、おいしい魚が減ってしまうかもしれません。
市保健環境研究所が行った調査では、海底ごみのうち約7割がプラスチックごみでした。
その多くが陸から流れてきたものと考えられています。
何気なくポイ捨てされたごみやごみ箱からあふれたごみは、風や雨で側溝や川などに流れ込んで海にたどり着き、海底にたまります。
私たちの住んでいるまちと、山・川・海は全てつながっているのです。
一人一人が生活の中で出るごみを減らしたり、山や川をきれいにしたりすることは、海へ流れ込むごみを減らすことにつながります。
私たちが生活の中でできること
▽ポイ捨てをやめよう
▽マイバッグ・マイボトルを使おう
▽物を大切に使おう
▽清掃活動に参加しよう
▽山や川、まちをきれいにしよう
マイクロプラスチックって何?
ビニール袋やペットボトルなどのプラスチックごみは、長い時間海を漂う間に太陽光や波の力などによってだんだん砕けて小さくなり、5ミリ以下の破片「マイクロプラスチック」になります。
こうなると回収するのは困難で、それを食べてしまう海の生き物だけでなく、その恩恵を受けている私たちへの影響も心配されています。
豊かな海を未来へ
福岡の海の現状とこれから
福岡の海の現状とこれからについて、九州大学の楠田哲也名誉教授(77)に話を聞きました。
博多湾は、岩礁、砂浜、干潟、港湾地区とさまざまな顔を持ち、風景と共に人々に多様な楽しみ方を提供してくれます。
海辺は、生物の産卵や生育の場にもなっていて、育ち方の違う多くの生物にとっても貴重な環境となっています。
博多湾の水質には、水の汚れの程度を示す指標「COD」などの環境基準が定められています。
この環境基準を達成するための取り組みの一つとして、生活排水などの汚水は水処理センターなどで処理されます。
汚濁の要因である有機物だけでなく、植物の成長に必要でありながら、一方で多すぎると赤潮の原因となる窒素やリンも除去されています。
しかしながら、いまだCODの基準値を満たしてない場所もあります。
また、河川から流れ込んでくるごみはボランティアや漁師の皆さんによって回収されていますが、海底にはプラスチックの袋やペットボトルなどのごみが沈んでたまっています。
博多湾ならではの方法で
水質が悪化する原因は、陸域から排出される物質だけではありません。
海底の堆積物からも溶け出してきています。
水浴の場合は、水がきれいなほど好ましいのですが、生物にとっては餌が含まれているほど望ましいといえます。
水浴は夏、ワカメのような海藻が育つのは冬というように、博多湾の状況は季節によっても変わります。
水質も季節ごとに目標を変化させてもいいかもしれません。
生物にとっても人間にとっても適正な状態をいいあんばいで保つことが大切です。
海の未来のために
市民にとっては憩える海辺、楽しく遊べる海辺であり、漁師の皆さんには、市民のための魚を育て安心して取れる海であり、生物にはその多様性を保ちうる海であり続けてほしいと思います。
福岡市ほど海や山で遊べるまちは、なかなかありません。
ペットボトルなどのごみは回収箱に捨てるなど、博多湾を守るために何ができるかを考え、思いついたことを実行してください。
博多湾は市民の宝です。
みんなで大切に守っていきましょう。
■2面・3面に関する問い合わせ先/環境調整課
電話 092-733-5389
FAX 092-733-5592
カブトガニが生息する今津干潟
博多湾の西側にある今津干潟は、生きた化石といわれるカブトガニが生息している貴重な場所です。
淡水が染み出す砂浜には、夏の大潮、満潮時にカブトガニのつがいが産卵にやってきます。
地魚を食べよう!
~市漁協組合長からのメッセージ~
私たち漁業者は海底ごみ回収などの保全活動や、かつて博多湾の名産といわれたアカガイの復活を目指した放流活動などに取り組んでいます。
今では、大きく成長したアカガイが確認されています。
市漁協が開催する朝市や夕市では、新鮮でおいしい旬の魚介類が購入できます。
また、ホームページ(「福岡市漁協」で検索)では、旬の魚を紹介するカレンダーや「漁師直伝!お魚レシピ」などを紹介しています。
今日の食事は魚にしませんか?
志賀島の朝市
玄界灘で取れた新鮮なアジ、エビ、カニ、シャコなどを販売します。
開始前から行列ができるため、7時~8時に整理札を配布します。
お早めにお越しください。
【日時】4~12月上旬の第1・3日曜日
午前8時~
【場所】志賀島漁港(東区志賀島)
【問い合わせ】市漁協志賀島支所
電話 092-603-6509
FAX 092-603-6622
弘の夕市
弘(ひろ)自慢の地魚をはじめ、鮮度の良い魚介類が販売されています。
魚の種類は日によって異なりますので、何が買えるかは、その日のお楽しみです。
【日時】5~12月の第2・4土曜日
午後2時ごろ~
【場所】弘漁港(東区弘)
【問い合わせ】市漁協弘支所
電話 092-603-6611
FAX 092-603-2755
伊崎のおさかな夕市
ペイペイドームを臨む伊崎漁港で毎週夕市が開催されます。
市場には屋根があり、雨の日も新鮮な魚を買い求めることができます。
開始前から行列ができることもあります。
【日時】毎週土曜日
午後2時55分~
【場所】伊崎漁港(中央区福浜一丁目)
【問い合わせ】市漁協伊崎支所
電話 092-741-2970
FAX 092-771-2528
姪浜の朝市
取れたての新鮮なタイ、カレイ、キス、エビ、などたくさんの魚を準備して漁師さんたちが待っています。
博多湾名産「姪浜のり」は、隣接する市漁協姪浜支所で販売しています。
※30分から1時間ほどで完売になることもあります。
各所に無料の駐車場があります。
詳しくは問い合わせを。
【日時】毎週日曜日
午前5時半~
【場所】姪浜漁港(西区愛宕浜四丁目)
【問い合わせ】市漁協姪浜支所
電話 092-881-0025
FAX 092-883-1612
「まもるーむ福岡」は、子どもから大人まで体験しながら環境について学べる施設です。
カブトガニや絶滅危惧種の魚・ヒナモロコなどを観察することができます。
7月25日(土)と8月1日(土)にカブトガニの観察会を行います(詳細は9面に掲載)。
地行浜の生き物を紹介する冊子「地行浜大解剖」をまもるーむで配布しています。
まもるーむから地行浜までは、徒歩5分です。
冊子を持って浜辺へお出掛けください。
【場所 問い合わせ】せまもるーむ福岡
(中央区地行浜二丁目)
電話 092-831-0669
FAX 092-831-0670
【開館時間】午前10時~午後5時
【料金】無料
【休館日】月・火曜日
(祝休日の場合は翌平日)