この連載では、かつて構想された、さまざまな都市計画などを紹介していきます。
昭和38年1月1日号の「市政だより」は、読者をあっと驚かせるイラストが表紙を飾りました。
そこには「10年後のふくおか」と題した昭和48年の市の未来予想図が描かれていたのです。
この図で最も注目したいのは、モノレールの環状線です。
西新を出た車両は南部の住宅地を経て都心部の「新博多駅」や天神を通過した後、大濠公園の東側から南下し、最終的に「油山観光センター」へと向かいます。
他にも、当時乗り入れていなかった新幹線が博多まで延伸していたり、西鉄宮地岳線(現貝塚線)の終点が天神付近になっていたり、構想とはいえ交通網の発達には驚かされます。
また、団地造成による住宅不足の解消や、上下水道の整備、海岸の埋め立てと工場誘致の実現など、住みよい都市となっている未来が具体的に描かれています。
この図は当時の市の総合計画を基にしながら、交通等については「十年後の夢」を取り入れていると付記されています。
全てを実現しようと考えていたわけではないようですが、高度成長期らしい夢のある当時の雰囲気を感じ取ることができます。
(福岡市博物館市史編さん室 宮野弘樹)