心に寄り添う~コロナ禍で見えたもの~

新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた春以降、私たちは未知の病に対する不安や恐れを感じながら過ごしてきました。

 

この間、私たちの身近にある教育、福祉、保育、医療の現場ではどのようなことが起きていたのでしょうか。

 

それぞれの現場で話を聞きました。

 

 

中学校校長会 会長

春吉中学校 鈴木康則校長の写真

 

現在中学校では、できるだけ窓を開け、スペースが確保できる教室では机をジグザグに配置するなどして、工夫しながら学校運営を行っています。

 

行事の中止や部活動の時間制限等を除けば、普段通りの生活が送れるようになってきました。

 

突然の休校に始まり、休校中の電話連絡や教科書配送、学校再開後は、クラスを二つに分けて時間差で登校させ、同じ授業を2度行いました。

 

給食の配膳は全て教員が行い、加えて1日2回の消毒作業など、みんなで力を合わせて乗り切りました。

 

久しぶりに生徒たちを校門で出迎えた時、マスクで目しか見えず、近くで話をすることもままならない状況でしたが、みんなそれはうれしそうでした。

そんな子どもたちの姿を見ると、われわれも力が湧いてきます。

 

 

再開後は、日誌やアンケートを利用して心のケアに力を入れました。

一人一人の小さな変化を見逃さないように、細心の注意を払っています。

 

 

本校では、生徒1人が感染し、職員8人と同じクラスの生徒がPCR検査を受けました。

幸い他に感染者は出ず、大きな混乱はありませんでした。

身近に感染者が出たことで、人ごとではないと認識できたようです。

 

 

中学時代に驚くほど成長を遂げる子どもたちには、学校だからこそ経験できることがたくさんあります。

 

教室で授業をうけている写真。オンライン授業に対応できる環境を進めます。

 

彼らの成長する姿をしばらく見ることができなかったことが非常に残念です。

学力は後で補えても、一瞬一瞬は戻りません。

毎日が貴重なのです。

 

 

保護者の皆さん、小さな変化でも、遠慮なくご連絡ください。

地域の皆さん、子どもたちにどんどん声を掛けてください。

地域での見守りは、とても心強いものです。

みんなで彼らの生き抜く力を育んでいきましょう。

 

 

 

福岡市老人福祉施設協議会 会長

特別養護老人ホーム寿生苑 朝野愛子施設長の写真

 

重篤化が心配される高齢者の皆さんと過ごす私たちは、毎日が緊張の連続です。

 

認知症の人や介助を必要とする人には、コロナ禍など関係ありません。

 

どの施設も、「ウイルスを持ち込まないこと」を徹底し、さまざまな対策を講じています。

 

施設の利用者とスタッフとの写真。天気のいい日は、できるだけ散歩

 

 

クラスター(感染者集団)には至りませんでしたが、当施設でも感染者が出ました。

 

感染が確認された後、職員の中には家族が出勤停止になったり、子どもが習い事を制限されたりした者もいました。

 

他の施設でも同様のことが起こり、無言電話などの嫌がらせにも悩まされたそうです。

 

私たちに向けられた心無い言動に、ウイルスの怖さを改めて実感しました。

 

施設スタッフの皆さんの写真。嘱託医と連携しながら高齢者の皆さんの健康管理をおこなっています。

 

感染者を出した施設では、出勤できる職員が少なくなる中、家族を守るために施設に泊まり込んだり、人ごみを避けて朝早く出勤し夜遅く帰宅したりして、職員たちは見えない恐怖と戦いながら働きました。

 

限られた人数でこの難局を乗り切れたのは、職員の皆さんの使命感に尽きます。

 

 

当施設では、10月からパネル越しに家族との面会が可能になりました。

 

今後も気を緩めずに、地道な努力を続けていきます。

 

 

 

 

福岡市保育協会 理事長

野方保育園 篠原敬一園長の写真

 

保育園は、医療従事者を含めさまざまな職業の親を持つ子どもたちを預かります。

 

ここでは「コロナが怖い」をなくそうと職員で話し合い、安心して仕事に行ってもらえるよう、できる限り「日常」を心掛けました。

 

赤ちゃんから預かる保育園では、3密を避けられません。

いつ何が起きてもおかしくない状況の中、みんなで覚悟を決めました。

 

「感染しても、誰も悪くない、誰のせいでもない」。

 

日々の消毒と感染症対策を徹底し、やれることは全てやりました。

日常を維持することの大変さを実感した数カ月でした。

 

保育士たちは、園児のためによく頑張ってくれました。

彼らの使命感を誇りに思います。

 

 

保護者の皆さんは

「ここはいつもと変わらないから、ほっとします」

と言ってくれました。

 

 

保育園は、働く親にとってのセーフティネットです。

誰であろうが、どんな立場にあろうが、関係なく保育を全うすることがわれわれの仕事です。

 

在宅ワークなどの影響で、一時は3割まで減った園児も、ほとんど戻ってきました。

この数カ月を振り返って、今だからこそできる、先を見据えた対策をみんなで考えていきます。

 

外で遊ぶ園児たちの写真。子どもたちの成長をみてもらおうと、この秋、人数制限など工夫して運動会を実施しました。

 

 

 

 

新型コロナウイルスに関する相談窓口

新型コロナウイルス感染症に関連する不当な差別、偏見、いじめ等の被害に遭った人や、その家族などからの相談を受け付けています。

 

福岡市人権啓発センター
(ココロンセンター)

●人権啓発相談室
電話 092-717-1247
(平日午前10時~正午、午後1時~5時)

 

 

福岡法務局・福岡県人権擁護委員連合会

●みんなの人権110番
電話 092-0570-003-110
(平日午前8時半~午後5時15分)

●子どもの人権110番
電話 0120-007-110
(平日午前8時半~午後5時15分)

●外国語人権相談ダイヤル
電話 0570-090-911
(平日午前9時~午後5時)

 

新型コロナウイルス感染症に関する情報は、福岡市ホームページ(「福岡市 コロナ」で検索)に掲載しています。

 

 

 

 

私たちの暮らしと感染症
~医療の現場から~

 

 

九州医療センター

エイズ/HIV総合治療センター 山本政弘医師の写真

 

 

新型コロナウイルスの出現は、われわれ医療従事者にとっても、大きな試練でした。

 

当病院でクラスターが発生した時は、緊張感の中でスタッフも疲弊していましたが、温かい励ましの言葉を掛けてもらったり、弁当を届けてもらったりして、地域の皆さんに支えられました。

 

この数カ月の状況は、まるでエイズが出始めた30年前を見ているようでした。

 

人から人へうつる怖さが患者の存在を拒絶し、「来るな、近寄るな」という発想に陥らせます。

それは、医師も例外ではありません。

分からないという不安が、診たくない気持ちにさせるのです。

 

未知の病に対して、人間の本質は30年前と何も変わっていないという現実を突き付けられました。

 

恐怖は、人を攻撃的にさせる一面を持っています。

一方で、次第に追い詰められる人もいます。

「コロナうつ」、特に自殺には注意を払わなければなりません。

マスコミの報道には、必要以上に恐怖をあおるものもあります。

中立的で正確かどうかを見極め、振り回されないようにしましょう。

 

 

今でこそ、HIV(エイズウイルス)感染者を診察する歯科医院が福岡市内に百数十カ所ありますが、これまでの道のりは平たんではありませんでした。

 

何度も説明を重ね、一つ一つ不安を取り除く必要があったのです。

HIVは、普通に接するだけでは感染しないことをしっかり周知して、患者の高齢化に伴い出てくるであろう、介護の問題にも取り組んでいきます。

 

 

常に差別を意識して

男女や人種の違いに対して、当たり前ですが人はそれを「区別」します。

私は、その区別の先に「差別」があると思っています。

 

私たちは同じじゃない、だからこそ互いを認め合い、違いを認識することから始めます。

 

医療従事者の中にも、自分は全て正しいと思っていて差別をしている自覚がない人もいます。

患者である当事者の苦悩は、本人にしか分かりません。

だからこそ、私は「差別をしているかもしれない」と常に意識しています。

謙虚さを忘れないようにするために、心掛けていることです。

人間のさがとも言えるこの差別という永遠のテーマに、常に向き合い続けていきます。

 

 

早期発見で救える命がある

かつて死に至る病といわれたエイズは、医療の進歩によって多くの人が治療しながら普段通りの生活を送れるようになりました。

 

そうは言っても、当センターでも数年に1人、力及ばず命を落とす患者がいます。

「あと1カ月早く検査してくれていたら」と悔しさが残ります。

心配なときは、ためらわず、検査を受けてください。

 

 

医療従事者は感染症についての研修の写真

 

 

 

12月1日は世界エイズデー
エイズ検査を受けましょう

令和元年に国内で新たに報告されたHIV感染者は903人、エイズ患者は333人でした。

福岡市では、HIV感染者30人、エイズ患者21人が報告されました。

HIV感染後、自覚症状のない時期が数年続くため、エイズ発症まで診断に至らない感染者が数多く存在すると考えられます。

 

HIV感染を早い時期に見つけ、適切な健康管理や治療を受けることで、エイズの発症を遅らせることができます。

 

●早期発見が大切です

エイズ(HIV)検査は、採血だけの簡単な検査です。

無料・匿名で受けられます。

正確な結果を得るために、感染の可能性のある日から3カ月以上たってから受けてください。

 

エイズ検査に併せ、性器クラミジアと梅毒の検査を無料・匿名で受けられます。

※中央保健所はエイズ即日検査のみ、東保健所はエイズ・梅毒のみ。

相談や詳しい内容については、下記の各区エイズダイヤルにお問い合わせください。

 

【問い合わせ先】
各区エイズダイヤル

検査時間は午前9時~11時(博多区は午後4時~6時)。

表内の検査曜日は、2020年12月1日以降の実施曜日です。

 

新型コロナウイルスの影響により、中止になる場合があります。

来所の際は、電話で確認の上、感染症対策を行ってお越しください。

 

各区エイズダイヤルの表


電話(平日のみ)
検査曜日


092-651-8391
第1・3火

博多
092-441-0023
第2・4水

中央
092-712-8391
第1・3火(要予約)


092-541-8391
第1・3火

城南
092-822-8391
第1・3水

早良
092-846-8391
第1・3水

西
092-891-0391
第1・3月

 

記事に関する問い合わせは
保健予防課
(電話 092-711-4270
FAX 092-733-5535)へ。

 

 

 

ハンセン病
当事者家族の立場から

「ハンセン病家族からのメッセージ思いよ届け!」と題した人権講座が、9月に福岡市内で開催されました。

 

講師の黄光男(ファングァンナム)さん(大阪府)に話を聞きました。

 

黄光男(ファングァンナム)さんの写真

 

ハンセン病患者への国の隔離政策は、平成8年まで89年続きました。

 

両親と2人の姉はハンセン病患者だったため隔離され、私は1歳の頃から9年間育児院で過ごしました。

 

一緒に暮らせるようになってからも、私たち家族は、差別を恐れて病気のことを隠し続けました。

 

高校に入学して本名を名乗り、在日朝鮮人であることを初めて公表しましたが、病気のことは言えませんでした。

 

福岡市で差別問題に取り組み、ハンセン病患者家族訴訟の原告団・団長として尽力された、林力さんの

「恥でないものを恥とするとき、本当の恥である」

という言葉を聞いて、目が覚めました。

 

こそこそ生きる必要なんてない。

誰だって堂々と自分の人生を生きていいんです。

輝いていいんです。

 

日本には古くから「世間」という独特の考えがあり、個人が埋没して自分の意見を言えなくさせています。

 

世間のさまざまなルールの中で、私たちは本音と建前を使い分けて生きています。

あなたは「差別はしていない」と言い切れますか。

どうか皆さん、差別と立ち向かう勇気を持ってください。

ただ人に従うのではなく、おかしいことは「おかしい」と言いましょう。

差別をつくり出してきたのは、人間なのですから。

 

 

 

 

ココロンセンター
福岡市人権啓発センター

 

福岡市人権啓発センター「ココロンセンター」は、市民一人一人の人権が尊重される社会を目指して、さまざまな情報を提供しています。

 

人権に関する図書やDVDの貸し出しも行っています。

 

人権講座の写真。定期的に開催しています。

 

【場所】
中央区舞鶴二丁目あいれふ8階
電話 092-717-1237
FAX 092-724-5162

 

【開館時間】
午前10時~午後9時
※土曜日と開館日の日曜日、2020年12月28日は午後5時半まで

 

【休館日】
第2・4日曜日、祝休日、2020年12月29日~2021年1月3日

 

最新の福岡市政だよりについては以下のサイトでご確認ください
https://www.city.fukuoka.lg.jp/shisei/kouhou-hodo/shiseidayori/index.html