福岡市博物館
ユネスコ登録記念企画展 8月20日(日)まで
博多祇園山笠展
【場所】 企画展示室4
【料金】 一般200円、高・大生150円、中学生以下無料
独自の山笠文化を築いた博多祇園山笠が、時代を超えてどのように描かれ記されてきたかを紹介する企画展です。
山笠展の「イチオシ」紹介します
福岡に本格的な夏の到来を告げる博多祇園山笠。木や竹などを用いて組み上げた素山(すやま)に、背景となる岩、館、川を据えて山笠人形を配し、能や歌舞伎などの一場面を表す山笠飾りは、多くの人びとを魅了しています。
さて、明治時代になると、山笠の当番を務める町では、記念写真が撮られるようになりました。勇壮かつ豪華絢爛な山笠を背景に舁き手たちが並ぶ構図が主流だった中、明治28(1895)年に一番山笠の当番町であった下呉服町の写真には、驚きの光景が捉えられていました。それは、なんと59人の若者と子どもが、命綱も着けず、素山に房状の果実のように登っている「人の山」です。皆誇らしげな表情をしていますが、このころの山笠の高さはおよそ10メートル。強固に締めた台(シオリ)から木製の飾り付け用の柱を建てているとはいえ、頂上付近は矢切りと呼ばれる竹で組まれた細い柱であり、足場も不安定で揺れも大きかったことでしょう。
なぜこのような写真を撮ろうと思ったのか、頂上からの景色はどんなものだったのかと思い巡らせます。当時この場に居合わせた人びとは、きっとこう言ったに違いありません。「ふてえーがってえ(驚いた)!」と。〈学芸課 河口綾香〉