東京学芸大学国際教育センターの吉谷武志教授(61) 掲載号:2017/12/01   市政だより記事, 特集記事

認め合い、共に生きる。~多文化共生~   2017/12/01

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認め合い、共に生きる。~多文化共生~

多文化共生とは、国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的違いを認め合い、地域で共に生きていくことです。

東京学芸大学国際教育センターの吉谷武志教授(61)

東京学芸大学国際教育センターの吉谷武志教授(61)に話を聞きました。

福岡市には国籍や民族、言語や生活習慣などが異なる、さまざまな文化を持つ人たちが暮らしています。文化の違いを認め合い、楽しみや面白さを見いだす人がいる一方で、肌の色や言語の違いに戸惑い、違和感を覚える人もいます。これまでは排除か同化かという、極端な見方をしている人もいたかもしれません。人として、違うのは当たり前。目の前の問題に向かい合って違いを乗り越えようと工夫することで、初めて気付くことがあります。解決策は、一緒に生活するその先に見えてきます。そこに昔から住む人も、移り住んだ人も、地域で共に暮らす「生活者」としての意識が必要です。互いの違いを知り理解を深めることで、誰にとっても住みやすい地域を自分たちでつくりあげることが可能になります。

子どもたちを見ていると「一緒に楽しく過ごしたい」と、気持ちはとてもシンプルです。いきなり手をつなげと言われても難しいものです。構えずに、自然に迎えてあげたいですね。

 

日本語教室&拠点校

筑紫丘小の日本語教室では、9ヵ国の 小中学生31人が週に1度、少人数制 で日本語を勉強しています

市内の市立小・中学校213校のうち、13の学校で、外国から来た子どもたちに日本語を教えています。うち4校(東区城浜小、中央区春吉小、南区筑紫丘小、西区内浜小)は、日本語教室のない学校から子どもが通う拠点校です。

池田尚登先生(62)

日本語指導のコーディネーター池田尚登先生(62)の話

来日直後の子どもは、言語はもちろん文化・習慣の違いから、生活のあらゆる場面で困難に直面します。まず、日本での学校生活や社会生活で必要な知識と、そこで日本語を使って行動する力を身に付けます。同時に、その子が在籍する学級や学校には、文化や習慣の違いをその子の立場で理解することをお願いしています。子どもが自然に学校生活を送れるように、学校側も決まりを見直すなどの柔軟な対応が時には必要です。宗教上の理由でスカートの下にズボンを履くことを認めたり、豚肉が食べられないイスラム圏などの子どもたちのために給食の献立表に印を付けたりするなどの対応をしています。3年前、豚肉由来の原料を含むショートニングが使われなくなり、みんな同じパンを食べられるようになりました。

日本で生まれ、日常会話はできるのに学習参加が困難な子どももいます。学習で必要とされるのは、分析・考察などが可能になる、思考を支える言語の力。そのために計画的な日本語指導が必要です。各学級では、実物や写真を準備する、板書や資料に振り仮名を付けるなど、工夫もなされています。また、担任の先生たちには、外国人の先生が外国語だけで話し、板書もプリントも全て外国語の模擬授業を受けてもらいます。どんなに不安で苦労が多いかを体験してもらうのです。

子ども一人一人をありのままに見ること、学力が伸びない・うまく適応できていないなど心配な点を放置しないこと、理解しようとする気持ちを忘れないことを大切にしています。みんなが来たくなる学校・学級が目標です。

 

日本語教室「ワールドルーム」

国語と社会以外の授業はクラス のみんなと一緒に

東区の城香中学校(香椎浜三丁目)では、日本語教室を「ワールドルーム」と呼んでいます。

2年生のアハメドくんは、「2年前にエジプトから来ました。初めは緊張したけれど、みんな自然に受け入れてくれました。ぼくは宗教上豚肉を食べないので、給食の献立に入っているときはおかずを持ってきます。歴史の勉強などは漢字が多くて難しいけれど、もっとたくさんのことを勉強したいです」と少しはにかみながら話しました。

同じクラスの土居晃士朗くんは、「初めてサッカーの試合にアハメドくんが出たとき、走るのが速くてびっくりしました。最初は身振り手振りでコミュニケーションを取っていましたが、すぐに言葉も分かるようになってすごいなと思いました。クラスには、アハメドくんの他に5人の外国人がいます。僕たちの知らない文化のことなどを教えてくれるので、とても面白いです」と話してくれました。

アハメドくん=左=と土居くん (ワールドルームで)

ワールドルームの日高美和先生(47)は「誰でも気軽に入れるよう、オープンな場所にしています。毎日、昼休みにお祈りをしに来る子もいます。生徒たちは私たち大人よりも寛容で、相手を理解しようとする気持ちが強いですね。この地域では、小さい頃から外国人と一緒に過ごしていることもあって、違うのが当たり前だと分かっているようです。いろいろな価値観を知り、たくさんのことを学んでいます」と笑顔で語りました。

 

この特集記事に関する問い合わせは、人権啓発センター(ココロンセンター)

電話 092-717-1237

FAX 092-724-5162へ。

 

保護者の立場から

 ネパール人のラム・クリシュナ・シェルシュタさん(34)の話

ネパール人のラム・クリシュナ・シェルシュタさん(34)の話

10年前から日本に住んでいます。ネパールで暮らしていた子どもたちが、2年前に休暇で日本を訪れていたときにネパール地震が起こり、帰れなくなってしまいました。突然、文化も言葉も習慣も違う国で生活することになり、最初はとても苦労しました。友達に笑われることもあり、気持ちを伝えたくても言葉で伝えられずに辛い思いをしている娘たちを見て、何度も帰国させようかと悩みました。何も分からない国に放り込まれたら、どんなに不安か想像してみてください。

筑紫丘小学校の日本語指導教室に通いだんだん日本語が分かるようになって、英語ができる娘たちは友達に英語を教えてあげられるようになりました。英語スピーチコンテストなどで活躍するようになり、友達もたくさんできました。今ではネパールのことも理解してくれています。私の住む地域の皆さんや気に掛けてくれた先生たちに感謝しています。今は、子どもたちの将来が楽しみです。

 

 

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